記憶 ―惑星の黙示録―



「…ないよ。その代わりに、科学技術とかが発達してる…?」

『――何それッ。』

コンちゃんにそう吠えられ、私は固まった。

何って…
…説明するのは非常に難しいんだけど。


「…はは。奈央ちゃんの世界は、ハルカちゃんたちの大嫌いな勉強が沢山なんだ。」

『「……イヤ。』」

二人は揃えて、顔をしかめたから笑わずには居られなかった。


「あとは?あとは?」

そう興味深々に聞く二人の瞳は輝いていて…。

あぁ、
ハルカちゃんたちに私の世界を話しては無かったんだ、と気が付いた。


「空の月は何個?」
「…1個。」

月は1つで当たり前。


ワン!
『妖精は居るか!?』

「…居ないよ。妖精は、想像の架空世界の住民だったのに…会っちゃったし。」

『会っちゃったなッ?』

そうなのよ…
それに、


「あ、ちなみに『しゃべる犬』も居ないから初めて。あはは!」

『――犬って言うな!ナオのバカぁぁぁッ!!』

「あはは、反応が楽しみでつい苛めたくなっちゃう…」


…笑ってる場合じゃない。

取り乱したい。
なのに、
平気な振りをして、明るく振る舞っていたと思う。



「世界は広いんだよ。」

リュウさんが目を細めた。