「…紫色の光なら…ナオちゃん倒れた時も、この辺を飛んでた…」
「それで、今は?」
私の言葉に、ハルカちゃんは首を傾げ肩をすくめた。
「あたしたち、ナオちゃんが倒れて驚いちゃって…」
『どっか飛んでった!』
どこへ行っちゃったんだろう。
リュウって人を探しに行ったのかな…?
「…リュウ…って人を探さなきゃ…」
私はそう呟きながら周囲を見回す。
背の高い、一面の橙色の花。
まるで百合の様な花びら。
しかし、その香りは馴染みのある金木犀に近い。
どうしてだろう…。
決して落ち着いていられる心境ではないはずなのに、心が癒される。
花の匂いのせい…?
「…リュウお兄ちゃ~ん!?」
ハルカちゃんが周囲に向けて叫ぶ声に、はっとした。
『リュウーーッ!助けてぇ~!?アランどこぉ~!?出て来いーッ!?』
見ず知らずの人。
私は呼ぶのを躊躇っていた。
「…あ、二人は会った事があるんだっけ、リュウって人…」
「1回だけ…」

