「獅兎~」

……。

来ない。鈴の音が聞こえない。

またいない。

前は読んだらすぐに来てくれたのに…。


リン---

少し遅れて聞こえてきた鈴の音。

「祈雨?呼んだか?」

「…呼んだ」

反応が遅い。

そう思いながらふてくされ気味に答えたら、獅兎はその綺麗な顔を歪ませて苦笑した。

「悪かったよ」

ぽん、とあたしの頭の上に手を乗せた獅兎の首には鈴と、
あたしが上げたネックレス。

「……やっぱり女がいるの?」

「いねぇよ」

「いるならあたし、こんなに獅兎を呼ばないよ?」