「…俺は、お前の従者だ……」

…まだ言うの?

あたしはただ一人の人として獅兎のことが好きで………。

それだけじゃ駄目なの?

「ねぇ、それって獅兎はあたしのことを女として見られないってこと……?」

「……違う」

じゃな、何?

さっき獅兎は言ってくれたのに。

お父さんよりもあたしを選んでくれるって。

「…あたしはっ!獅兎の気持ちを聞きたいのっっ。獅兎の心からの気持ちを聞きたいの!!今はっ……獅兎の首に鈴は付いてないんだよっっ!?」

花火の音にかき消されないように。獅兎に誤魔化されないように。

あたしは大声を出した。

その声も、花火と重なってやっと獅兎に届くような声だったけど。

あたしが叫んだあと、獅兎は自分のすぐ横に視線を落とした。

別に、あたしから目を逸らしたわけじゃない。

獅兎の視線の先に在るのは獅兎の鈴。

獅兎が自分で外した獅兎の鈴。