「お前、俺のこと好きになるな」

「え…、何、で?」

いきなり耳元で言われた言葉。

「お前の父さんの言うこと聞いとけ」

「ヤダ」

「やだって…」

「だってあたしは獅兎が好きなんだもん。確かにお兄ちゃんみたいとか思ったことあるけど、ちゃんと恋愛対象として好きなんだもん」

なんでそんなこと言うの?

「獅兎は?あたしのこと好きじゃない??女としてみてない…?」

「俺は……」

その続きは聞きたくて、聞きたくなかった。

獅兎の言葉の続きは打ち上げられた花火の音に消されて聞こえなかった。


「綺麗ぇ」

こんな大きな花火見たのは久しぶり。

「祈雨……」

「ん?」

2人で花火見て、寄り添いあって。

あたし達恋人に見えるよね。

本当に恋人になれたらいいのに……。