「祈雨っ!!」

横の茂みから飛び出してきたのは、獅兎。

獅兎があたしと男の間に入る。

…こんなに焦ってる獅兎見るの初めてだ…。

あたしが呑気にそんなこと思ってられるのも獅兎がいるから。

「…退け。これは命令だぞ」

「無理だな。いくら家主の命令でも、俺は祈雨に従う」

「獅兎、あたし獅兎から離れないからね」

「…あぁ」

獅兎が自分の首についてた鈴の紐をほどいた。

「……どうなっても知らないぞ」

目の前の男が消えて、その空間にあたしと獅兎の二人きりになった。

「し……」

「きさめ」

え……?

いつのまにかあたしは獅兎の腕の中。

「悪い……」

何がとも言わない獅兎。

何で謝るのかわかんない。