やだな……、
まだいる。
何をしてるんだろう?
埋めているの?
闇が辺りを覆う午前0時。
私はこの町に
越してきたばかりで
新しい暮らしに
まだ慣れていなく、
下ろしたばかりの
寝慣れない枕を放り投げ
夜の散歩がてら
桜並木を歩いていた。
片側に並んでいる
桜の花は
すでに散り出し
枝の先から青葉を
揺らしているが、
もう片側に並ぶ八重桜は
まさに満開を
迎えようとしている。
まったく、
気分ぶち壊しだよ……。
視線の先には
その八重桜の木の脇で
こちらに背を向け
うずくまっていて
確かではないが、
白髪の髪の長い
お婆さんらしき人が
著しく何かを振り上げ
打ち下ろしていた。
逆手だな。
花壇を掘っているとか?
それにしても必死……。