「望くん、手を、自分の胸に当てて下さい」


「え…?」


セイラが突然、そんなことを言い出した。

俺は不思議に思ってセイラを見つめたが、セイラはただ微笑むだけだった。


「………」


俺はよくわからないまま、手を胸に当てた。



「じゃあ…目を、ゆっくり閉じて下さい」


「………」



俺は、セイラの言うことに黙って従うことにした。

何もわからない。


でも


何かが、見えてきそうな気がして。