「何もされてないから大丈夫。それより、翔が手を出したら、大変なことになっちゃうよっ」 葵の言葉を聞いて、上に挙げていた手を下に降ろした。 「……あたし、翔が学校を停学になったら、嫌だよ」 ……そうだ。 こいつなんかと、喧嘩をしたら葵を悲しませてしまう。 「………なんだよ」 突然、発っせられた声に驚いて声がした方を向いた。 「殴りたいなら、殴ればいいだろっ」 怒鳴るようにして、言われた言葉。