「とりあえず、中に入れ」 オレの部屋に入れ、葵を落ち着かせるようにして、冷たい飲み物を出した。 「どうしたんだよ、葵」 そう尋ねても、黙ったままの葵。 「彼がいたの……」 静かに、そう言い放つ葵。 「彼って、あいつ?」 オレが言うと、葵はコクンと頷いた。 「だって、彼はいつも上位にいるのに、なんで今回赤点なんかっ」 「それで、何かされたのか」 「大丈夫、何もされてないから」 そう言って、口をつぐんでしまった。