自分の家にも、入れないまま翔の家とあたしの家の真ん中ぐらいで泣いた。 手で必死に擦っても、どんどん零れてくる。 「ヒッ、ク」 そのとき、 「葵」 あたしの、大好きな人の声が聞こえた。 どうして……? なんで、いるの? 「しょう…。なんでよぉ、断るなら、追い掛けてこないでよ……」 強く、翔に抱きしめられた。 「誰が、断るって言った?」 「え?」 断るん、じゃ、ないの?