そして優しい嘘を言葉に

「あのねっ、走って来たら、汗が目に入って痛くて痛くて……もしかして、目、赤い?」



優子が私の言葉に、クスッと笑った。



「もしかしなくても、ウサギみたいに赤いよ。私、先に行ってるから、顔洗ってきた方がいいよ」

それだけ言って、優子はスタスタと体育館へ行ってしまった。



「はぁ」

思わず、ため息。



見られたのが優子で良かった。

とりあえず、今は部活に集中しなくちゃ……ボーっとしててケガでもしたら、涼にお説教されてしまう。



私は落ち着かない気持ちに無理矢理フタをして、ちょっとの間だけ考えない事にした。



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