そして優しい嘘を言葉に

「おっ、早かったな?」

「うん、弥生ちゃんに話したら、からかわれて……『行ってらっしゃい』って言われちゃって」



「そっか」

涼が、クスッと笑った。



「涼、それ、どうしたの?」



ギターなんて、持って来てなかったよね?



「ああ、これ? ここにずっと放置してあったんだけど、弦も切れてないし、調律したら弾けそうだから借りた」


文化祭での先生方の催し物を思い出した。

そう言えば、涼、ギター弾いて歌っていたね。

でも。



「どうしたの? お話するのかと思ってたけど、違うの?」

首を傾げながら訊くと、涼はニッコリと笑った。