そして優しい嘘を言葉に

ちゃんと言わなきゃ。



『僚二より大切な人が出来て、ごめんなさい』って。



私、ずっと逃げていたのに……それでも待っていてくれたおばさんに、ちゃんと、言わなきゃ。



ビクン

私の両手を、とても温かいおばさんの手が包み込んだ。



「あ、の……おば、さん……」

「4年も5年も、こんな可愛い美雪ちゃんをほっといて、帰って来ない僚二が悪いんだから、美雪ちゃんは気にしなくていいのっ、ねっ?」



あっ……初めて会った日に、祥君に言われた言葉と似てる。



「そりゃぁ、将来は自分の義理の娘になると思っていたんだから、なんだか自分の娘がお嫁に行くようで、ちょっと淋しいけどね……って、『お嫁』はまだ早いか」



そう言ってから、おばさんはクスッと笑った。

その後、優しく微笑むと私の顔を覗き込むようにして、顔を近付けた。