Iの漂流戦士







『先生…私本当は今日自殺するつもりだったんです』



“お前年間の自殺者数知ってっか?”


数時間前聞かされた倉木の言葉が頭を過る


『初めて付き合った彼氏には彼女が居て二人はグルだったんです。私からお金を巻き上げる為に』


“そいつらを死に追い込んだ連中がその数だけ居るって事なんだよ”



『その後も無理矢理お金をせがまれて、一度断ったら次の日教室に私の机がありませんでした』


“俺はさ星野…そいつらは立派な人殺しだと思うんだよね”



『次の日には落書き、次の日は生ゴミ、最終的には白い花が飾られてました』


“法や警察が裁かないなら一体誰がそいつらを裁くんだと思う?”



『あ、私って死んだ事になったんだって思ったら本当に死にたくなって……。だけど殺人鬼が裁いてくれたんです』



少女の目は皮肉にも希望に満ち溢れていた



『もう右手を切る理由も死ぬ理由もなくなりました。だから…代わりに供えて来たんです。私がやられたように白い花を』


正義の中にあった埋まらないパーツが一気に埋まった



なぜ殺人鬼を戦士と呼んでいるのか

なぜ殺人があったのに何もなかったように笑っていられるのか


なぜ殺人鬼を敬い、称(たた)えているのか



それはその殺人鬼のおかげで救われた人が居るからだ


自殺しようとしてた人が今日を生きている

何の悩みもなく明日を生きていける


だからみんな口を揃えて言う


---殺人鬼は戦士だと