少女はトンッと後ろのビルに背中を付けて続けた
『星野先生のクラスはいつも楽しそうでみんな仲が良いって言ってます。星野先生はいい先生なんですね』
妹との会話を思い出しながら、少女は自分の事のように楽しく言った
『はは、それは俺が良いんじゃなくて生徒達がいい子なんだよ。別に俺じゃなくても……』
『いえ。良いクラスになるのはそこに良い先生が居るからだと私は思います。うちの学校には残念ながら居ません』
少女は正義の顔を見て悲しそうに笑った
それを隠す為か少女は不自然に前髪を触る
-----その時、正義は見てしまった
とっさにその腕を掴み、制服の袖をめくる
『痛いって泣いてるよ』
右手首にある無数のリストカットの跡。古傷から最近の物まで数えきれないぐらいあった
それはみみず腫のようになっていて、手首は痛いと懸命に訴えていた
『………やっぱり星野先生は良い先生です。皆はこれを気持ち悪いって言ったり、先生は真っ先に怒るものです』
正義は愛の手として活動を始めてから、このような子を沢山見てきた
だからこそ強く問いただしてはいけないと知っている
少女は右手の袖を直し、正義には話してもいいと思ったのか驚く事を口にする



