Iの漂流戦士





正義はゴクンッと息を飲んだ

こんな可愛らしい子が殺人鬼な訳がない

いや殺人鬼であってはいけない

そう思った


でも首には“02”の文字


(なぜ……こんな子が……)


正義は聞きたい事が山のように喉から出掛かっていた

しかし時間は待っていてくれない



『もう行かなきゃ怒られちゃう』


少女の足は後ろに一歩下がった

正義は焦る気持ちが先走り、少女をどうやって引き止めたらいいのか分からない


すると少女は言う




『あなたと私はまた出会う。この歌が聞こえるなら』


正義の耳にまた歌が聞こえ始めた

少女は鼻歌を歌いながら一歩、また一歩と正義から離れてゆく



『待って!……君の名前は?』


たくさん聞きたい事がある中で、最初に出た言葉

少女はニコッと笑い言った



『ナノハ』



ナノハは再び血の付いた仮面を被り、夜の殿町へと姿を消した


細いビルとビルの隙間にはまだ動けずにいる正義が一人


その隙間から様子を見ている人間が一人


声も出さず微笑んだ後に、キラリとメガネが光った


“高木功”は背後から正義の背中を見つめポツリと呟く


『僕は正直な人は好きですよ』と