今まで埋まる事のなかった空白が埋まっていく感覚がした
同時に感じた事のない安心感。これが満たされるという事なのだろう
『あ、修君見て』
正義はそう言って指をさした
屋上から見えるその方向から目映(まばゆ)い光。いつの間にか時間は過ぎ、暗闇から朝日が顔をだしていた
殿の街並みが色を変え、ビルのガラスが反射してダイアモンドみたいにキラキラしている
『綺麗だね、朝日なんて久しぶりに見た』
正義は目に焼き付けるように光を見つめた。それを見た修もポツリと呟く
『本当に綺麗だ』
世界にはこんなに綺麗なものがある事
憎らしかった明日が待ち遠しい事
朝日がこんなにも暖かい事
もし、時を戻せるならあの頃の自分に教えてあげたい
『……………修君?』
気が付くと修の目から涙が流れていた
『星野さん。俺からの最後のお願いです。先生に………倉木先生に伝えて下さい』
『………………』
『また必ずあなたの生徒で生まれてくると』
きっと、倉木は言うだろう
また無茶な約束しがってと。でもそれでいい
約束は守るから価値があるのではなく、
約束は守れないと分かっていても守りたくなるから価値があるのだ
だから愛しい、大切な人と繋がっていられる絆
『-------------俺にはないの?最後の言葉』
足音と共に屋上に現れたのは二人を引き合わせた高木功だった
その顔を見て兄である修は何かを悟った
『お前、最初からここに居ただろ?』
『さぁ、それはどうかな』
互いに笑い合ってる姿を見ると、兄弟なんだと実感する
修が弟をどれほど大切に思っているか、どれほど心配しているかそれが正義には痛いほど伝わってくる



