そして修は続ける
『同じ家で暮らした事もないし、同じ飯を食べた事もない。一緒に遊んだ事もお前の小さい頃の姿さえ知らない』
『………………』
『本当だったら俺はお前の兄貴だから世話をしたり、たまには喧嘩なんかもして。そうゆう兄貴らしい事、何一つしてやれなかったけどお前は確かに俺の弟だったよ』
もし同じ屋根の下に生まれていたら、楽しさも苦しさも一緒に共有出来ただろう
だけど恨んだり、悔しかったり、妬んだりしたけれどそれも兄弟の証
泣きそうな弟の横顔を修は見つめ、そっと微笑む
『俺はおふくろも父親も居ない、家族はもう居ないって思ってた』
『………兄さん…』
修は何かが吹っ切れたように、そのままコンクリートに寝そべった
包み隠さず話す姿は晴れ晴れとしている
『俺は父親を恨んでたし世界で一番嫌いだったけど、お前をこの世に生み出してくれた事は感謝してる。-------------だから功は家族だよ、間違いなく』
自分の手で殺した父親への唯一の感謝
それを述べた瞬間、修の頬に一筋の光るものが流れた
あの時の事も、あの日の事も後悔はない
でも感謝という一つ許せる事を見つけたら、無償に泣きそうなった
そんな修を見て高木功も隣に横たわる
頭上に広がる青空を掴むように、高木功は右手を空へと広げた
『俺はどこかで兄さんとの繋がりはいつか消えてしまうと思ってた』
だからあんなに必死に繋ぎ止めたかったんだと思う。例え何かを犠牲にしても失いたくなかった
『兄さんには絶対居なくなって欲しくなかったし前の俺は殺人鬼でもここに居て欲しいって思ってたよ』
高木功はそう言って、指の隙間から見える太陽を見つめた
『--------だけど違ったんだ。家族なら離れていても家族だ。一緒に居なくても側に居なくても兄さんは俺の家族なんだね』
“家族”という言葉に長年見つからなかったものを貰った気がする。それは互いを笑顔にする魔法の言葉
だから、今度は弟から兄へ-----------。
『兄さん、一つだけ良い事教えてあげるよ』
『………………………?』



