心のモヤモヤは山程ある
救えなかった事も、気付けなかった事も。だけど一番は……………………
『修覚えてるか?この教室でお前が俺に言った事』
『…………………』
『先生は担任だから俺を知りたいんでしょ?愛の手だから悩みを打ち明けて欲しいんでしょ?って言っただろ?』
あの時、倉木は何も言えなかった。先生としてなのか、愛の手としてなのか答えが出せなかったから
『ずっと後悔してた。答えなんて決まってるのに俺はなんで何も言ってあげられなかったんだろうって』
多分、きっと修はあの時欲しかったはず。だからわざとあんな質問をしたんだと思う
倉木は修の目を真っ直ぐ見つめた
『俺は一人の人間としてお前を理解したかった』
教師としてでも愛の手としてでもなく、ただ枝波修を理解してあげたかったんだ
『有り難う、先生。俺はあの時…………』
『……………………』
『あの最後の時、助けを求めたのは大切だった母さんじゃなく、やっと見つけた弟という存在でもなく担任だった先生、あなただった』
雨の中、僅かなお金で電話をかけた。声が聞きたくて、何か言って欲しくて
『…………………修……』
倉木の目から涙が溢れた
『嬉しかったよ。走って俺を助けにきてくれた事。ずっと言わなきゃと思ってた。先生、有り難う』
『修…………でも俺は………』
倉木の言いたい事を修は遮った
『あの時、先生の手が届いてたとしても無理だったよ。大切な事に気付くのにこんなに遠回りしたんだ。あの頃の俺はどんな選択をしようと生きる事を選ばなかったと思う』
『……………………修』



