【オフィスビル26階 屋上】
殿(しんがり)の街は夕方なり、大通りの交差点は人で溢れていた
それが点のように見えるこの場所は雑音も人の声も聞こえない
『……………静かだな』
修は殿町を見つめながらポツリと呟いた。まるで騒ぎなんてなかったように屋上はいつも通り
『……………修、大丈夫?』
その隣ではナノハが心配そうに寄り添っていた
『平気だよ。お前こそあの先生と学校に行ったんだろ?過去とは向き合えたのか?』
ナノハがこの話題を知ったのは正義と居た時。あと一歩で自分のやり残しを確認する寸前に倉木の電話によってそれは成し遂げられなかった
今はその事よりもナノハは修が心配でならない
『…………修は?あの後倉木って先生に会いに行ったんじゃないの?』
富江女子校の前でナノハが修に言った言葉
“あの人がもう一度二人でで会いたいって。ずっと待ってるって。そう伝えってって言われたよ”
それを聞いた修はとても清々しい顔をしていた。きっとこの後会いに行くのだろうと思ってた
『行ったよ。……………途中までだけど』
あの時までは本当に倉木と会い、過去を全て終わらせるつもりでいた
それなのに途中で見てしまった自分達の報道。こんな騒ぎになってそれどころではなくなってしまった
『………なんかさ、上手く言えないけど俺ってそうゆう風になってるんだなって』
『そうゆう風って?』
『やっと何日間も考えて覚悟したのに結局それを拒む何かがある。1日早かったら、1時間早かったら結果は変わっていたのに』
もしあの電気屋の前を通らなかったら、
もし違うチャンネルだったら、
もし後1日早く行っていればきっと楽になれただろう
『……従うしかねーよな、運命に』
修は自分に言い聞かせるように言った
確かに過去と決別して殺人鬼という存在を消し、逝くべき場所へ行こうと思っていた
だけど自分のせいで巻き込んでしまい、人殺しの弟にしてしまった
------------置いてはいけない。
弟を残して自分だけ楽な道に進む事は出来ない



