Iの漂流戦士





『……あ、桜あのねっ』


帰る準備をしていたナノハの横を桜が通りすぎた。その瞬間勇気を出して声を出す


“一緒に帰らない?”そう誘うつもりでいた

桜の話も聞きたいし、自分の話もしたい。今日裏庭に行った事。それで花を植えて欲しいと頼まれた事


あわよくばそれも一緒にやらない?と誘えた良い


桜の足はナノハの前で止まったのに、すぐに他の友達が寄ってきた


『ねー桜。さっきの話の続きなんだけど』


結局ナノハはその後何も言えず、桜はまたどこかへ行ってしまった


思えば桜と友達になってから、休み時間も放課後も一人で居る事はなかった

いつも友達が沢山居たし、その輪の中に自分も居た


でもそれは全てナノハの隣に桜が居たから

友達もその輪もナノハではなく、桜に集まってる事で抜けてしまえばまた一人ぼっち

変われた気になって、友達も出来た気になっていたけどそれはきっと違う

話すタイミングも内容もキッカケも全部桜が作ってくれて、ナノハはそれに頼るだけ


結局自分自身では何もしていなかったと、ナノハはこの時はじめて気付いた


少し落ち込みながら、ナノハは教室を出て昇降口に向かった

靴を履き、正門を通ると背後から誰かに声をかけられた


『ナノハちゃん?』

聞き覚えのある声に振り向くと、そこに居たのは昨日会った長山洋太だった