正義は憂鬱な顔で教室に向かっていると、ズボンのポケットからバイブ音が聞こえた
その長さからしてメールではなく電話のようだ
(……この時間に電話?誰だろ…)
階段の隅(すみ)に移動して携帯を確認すると【着信 倉木】と表示されていた
『く、倉木さんどうしたんですか?』
迷わず電話に出た正義は少し慌てている様子だった
『どうかしねーとお前に電話かけちゃダメなのかよ?』
電話の向こう側ではザワザワと騒がしくて、倉木も正義同様に学校に居るはず
『いえ…、でもこんな時間に電話なんて』
朝のチャイムまで後5分
『今日の夜、殿町で愛の手のパトロールの日だからな。お前忘れてると思ってよ』
『……あ』
正義の頭の中は色々な事でいっぱいで、確かに愛の手の活動を忘れていた
『まぁ、お前も疲れてるだろうし、たまには休んでもいいけどさ』
倉木がそう言うと、食い気味で正義が言い返した
『いえ、行きます!愛の手の活動もやると決めたのは自分ですから』
初めから大変な事は分かっている
だけど途中で投げ出す事は正義にとって一番許せない事だった
『そう言うと思ったよ。じゃぁ、いつもの時間に殿町でな』
倉木はどこか嬉しそうに電話を切った



