難しい事は言いたくないし、押し付ける事もしたくない
-------------だから直球で。
『何かあったら俺に言え。何もなくても俺に言え』
居場所がないのなら一緒に作ればいい
話をしたくないなら、話してくれるまで待てばいい
これは教師としてじゃなく、愛の手としてじゃなく
1人の人間として出した答え
修の表情が一瞬変わった
それは今にも泣きそうな弱い顔
もし、1日でも早くこの言葉を聞いていたら
きっと全てを打ち明けていただろう
だけど今の修は
倉木の言葉よりも先に決意してしまった事がある
それは誰かの為じゃなく、
自分の為
『……先生、ごめんね』
修はたった一言だけ言ってその場を去った
倉木はひき止める事も呼び掛ける事もしなかった
届かなかったのなら、また明日言えばいい
明日がダメなら明後日
明後日がダメなら明明後日
倉木は廊下にある窓を見つめた
今日の天気は晴れだけど、夕方から雷雨が来るらしい
その雨は今も倉木の中で降っている
やむ事のない大粒の雨が
後悔と一緒に流れ落ち続けていた



