戸ヶ崎の死は事故死なんかじゃない
“あいつら今でも俺を探してる。多分見つかったら殺されるかもしれない”
戸ヶ崎が走っていた道には無数のバイクの跡があった
それに戸ヶ崎を追いかけるバイクの姿が目撃されている
それでも戸ヶ崎は事故死になった
何故ならバイクが追いかけたのはたったの数メートル
それからの道のりは戸ヶ崎が勝手にスピードを出し、そして事故に合った
戸ヶ崎は怖かったんだと思う
本気で本気で逃げたんだと思う
-----------戸ヶ崎が逃げた理由は?
逃げる必要はあった?
悪い事は何もしていないのに
『……兄さん大丈夫?』
高木功は修の肩に触れた
修は殿町を見つめながら、ポツリと呟いた
『理不尽だよな。この世界って』
死なずに済んだ人が死んで
死ななきゃいけない人が生きている
息も出来ないぐらい苦しくて
居場所を必死に探さなきゃいけないのは誰のせい?
それは--------------、誰かのせい。
悲しみの中には必ず
悲しみに追い込んだ人が居て
怒りの中には
怒りに追い込んだ人が居る
そんな追い込む人と
追い込まれる人が居て
そこから理不尽な死に生まれる
『なぁ…………功』
修は何かを決意したように弟の名前を呼んだ
『何?』
『俺、この先すごい事をするかもしれない』
“すごい事”
それが何を示すのか高木功には想像もつかない
ただ、修の最後の一言である事を思った
『だからその時は、俺を絶対に許すなよ』
せっかく出会えた兄がどこかへ行ってしまう
無性にそう思った



