Iの漂流戦士






どうしたらこのモヤモヤしたものを取り除けるのだろう


分からない

分からない



『お前もいい加減母親に依存するのは辞めろ。あいつはもう居ないんだ』



----誰のせい?

この男さえ居なければ、母親は今もここに居たかもしれない


----全ては誰のせい?



修の手が静かに父親から離れた

それは僅かに残っていた理性



『なんだよ、その目は』


修の目付きに父親が呆れた顔をした

その目は吸い込まれるほど深く、そして暗い


修は無言で立ち上がり、ゆっくりと部屋を出た


その背後でタバコに火を点ける音がする

灰色の煙が蛇みたいにまとまりついて鬱陶(うっとう)しい



『そう言えばお前会ってるんだろ?弟に』


修が必死で感情を押さえているのに、父親はそれにすら気づかない



『けっこう裕福な暮らししてるらしいな』


父親が何を考えているのか嫌でも理解できた

修は居間の戸を開けて、背中越しで言った




『次、ふざけた事したら……
殺されるよ。俺に』



その言い方はまるで他人事のよう


きっと次は理性を持った修は居ない


それを止める人も押さえる人も居ない




『ふん、お前にそんな度胸がある訳ねーだろ』


父親は修を鼻で笑った


修はそれに反論する事なく家を出た



後1分、後30秒あの空間に居たら


きっと、


きっと----------------------。