【殿町 大通り】
その帰り道、修はまたこの街へとやって来た
こんな生活が長く続けられるとは思ってない
でも何も聞かず、無条件で受け入れてくれる場所はここしかない
もう辺りは真っ暗だと言うのに街はとても明るくて
ネオンやイルミネーションで目がチカチカする
たくさんの人が行き交う大通りで、修は人の波に埋もれていた
-----と、その時
修の目にある人物が見えた
『お前何やってんだよ』
修はその人物の肩を掴み、怒りを押さえられずにいた
『あれ?修くんじゃん!帰ってこないと思ったらこんな所で遊んでたんだ』
その人物とは風俗の女
女が街に居ようが居ないが修には関係ないし、呼び止める理由もない
ただ、ただ…………
『それ、母さんの服だろ。それにこれはなんだよ?』
女が着ていた洋服は修の母親が気に入っていたワンピース
そして女の手には紙袋が持たれていて、その中身は全て母の洋服だった
『言っとくけど私は頼まれただけよ。あの人に売ってこいって言われたから…』
-----プツン
また修の中で何かが弾けた
修は女から紙袋を奪い取り、ワンピースに手を伸ばそうとしたが、
今ここで剥ぎ取るなんて出来る訳がない
修は気持ちを圧し殺しながら女を睨み付けた
『このまま居なくなって。それで二度と俺の前に現れるな』
その顔は殺意にも近い、とても冷酷な顔だった



