Iの漂流戦士







『……分かるよ。きっと俺もそうだから』


修は微笑みながら高木功の本音を受け止めた



修も弟に会いたいと思ったのは、ただの好奇心からではない


無数にある繋がりの糸の中で、いくら手繰り(たぐり)寄せてもそこには何もなかった


だけど弟という糸を見つけたらそれがすごく光って見えて


もしかしたら何かあるかもしれない

そんな希望のようなものを感じていた



『じゃぁ、やっぱり俺達は兄弟だね。考え方が似てる』


高木功は安心したように修を見た

修は一瞬笑顔になったけど、それはすぐに消えてしまった



『でもあまり俺を過大評価するなよ?』


『………?』

苦笑いを浮かべる姿に高木功は首を傾げている


修はうつ向き、自分の両手に力を入れた



『俺は功みたいに自分を理解してないし、時々怖いぐらい感情が不安定になる』


今も答えのない迷路をグルグルと回って、結局いつも同じ場所にたどり着く



『その感情が押さえられなくなったら俺は……』


『……兄さん?』


修からその言葉の続きが出る事はなかった



日が完全に落ち始めた頃、やっと2人はベンチから腰を上げた



『そろそろ帰ろう。お母さんが待ってるだろ?』


修は先ほどの顔が嘘みたいに普通に戻っている



『……兄さん。いつか俺に話してくれる?』


あの言葉の続きを

そしてその理由を



『…あぁ、いつか話すよ』


修はそう言って高木功と別れた


守れない約束はしないし、それを破った事はない

でも、


この約束は分からない


話そうと決めた時には、何か恐ろしい事を覚悟した後のような気がして