高木功はその人物の横をゆっくりと通りすぎた
その際に顔を見ようとしたけど、頭に深くフードを被っていて良く見えない
この人は誰を待っているのだろう?
こんな雨の中、あんなに険しい顔をして
高木功はそれでもスタスタと歩き続けたが、その足は来た道を戻っていく
--------------そして。
『………あの…』
高木功は正門の前まで行き、その人物に声をかけた
普段ならこんな事は絶対にしないし、知らない人に声をかけたりしない
でも予感がした
同じ毎日、同じ空気の中でその人物に同じ何かを感じたのだ
それはきっと気のせいではない
『……誰かを待ってるんですか?』
相変わらず相手の顔は見えない
『……あー、まぁね』
その人物から雨の音に紛れて返事が返ってきた
ポツ、ポツと二人の傘に当たる雨は別の音色を奏でている
『それって…俺の事ですか?』
---ザァァァという雨の音はもう聞こえない
まるでこの場所に2人しか居ないみたいに、空気が変わった
『……………』
相手はゆっくりと傘を傾け、パーカーのフードを取った
その顔は初めて会ったのに、どこか懐かしい
探せば所々自分と似ている場所があって、
そう思っているのは高木功だけじゃない
16年の月日を経て、2人は雨の中出会った
兄と弟という強い絆に導かれて



