【私立睦八代中学校】
『------------高木君。』
一日の授業が終わり放課後、学年主任が高木功の教室に入ってきた
『……………?』
帰る準備の手を止めて、相手の言葉を待つ
『ずっとずっと先の話だけど、卒業式の答辞(とうじ)を読む生徒が君に決まったよ』
“どうでもいい”
正直そう思ったが、いつも通り高木功はニコリと笑った
『本当ですか?とても光栄です』
中学三年になってからは、ますます教師達の期待がうっとうしい
同じ毎日、同じ空気、
高木功は教室の窓から外を見つめた
昨日から雲行きが怪しかった今日は朝からどしゃ降りで、放課後の今も降り続けている
高木功は教室に置いていた傘を手に持ち、昇降口に向かった
続々と下校する他の生徒達と一緒に外に出ると、雨は先ほどよりもひどく降っていた
抜かるんだ地面の上を歩き、正門に近付くと高木功の足がピタリと止まる
----------ポツポツとビニール傘に雨が落ちて、そこから水滴が流れていた
高木功の見つめる先には1人の人物が立っている
黒い傘に黒いパーカー
顔は見えないけれど誰かを待っているのか下校していく生徒達の顔を険しい顔で見つめていた



