なぜ今、あの言葉を思い出したのかは分からない
気付くと倉木は個人情報が書かれている紙を見つめ、枝波修の文字を探した
そして修の家族構成に目が止まる
修は父親と2人暮らしで、母親は居ない
詳しく書いていなかったが、どうやら離婚という形ではないらしい
----名字が嫌い。
確かに修はそう言った
つまり父親の事が嫌いという意味なのだろうか?
高校生にもなれば反抗の一つや二つあるもので、特に男親は毛嫌いされる
母親が居ない分、修の家庭にも色々あるのだろうと倉木は勝手に解釈していた
『って…そろそろ出なきゃまずいな』
倉木はやりかけの仕事をまとめ、職員室を出た
向かう場所は殿町
そこにもまた、反抗期真っ盛りの子供がうじゃうじゃと居る
家に帰りたくない
親がうざい
学校が面倒くさい
みんな打ち合わせでもしたかのように、同じ事を言う
毎日毎日パトロールして、いくら説得しても
殿町からそのような子供が居なくなる事はない
そして今日も殿という町は、新たに漂流してくる子供を受け入れようとしていた



