倉木は保健室にある机に座り、お弁当を指差した
『食え、みんなには内緒だぞ』
-----ゴクン
思わず唾を飲み込むほど、美味しそうなお弁当
でも修はすぐに食い付かなかった
『…なんすかこれ?こんな事していいんですか?』
食欲を必死に我慢して、平然を装(よそお)った
『あ?なんでダメなんだよ?俺の弁当、誰に食わそうと俺の自由だろ』
俺の弁当と言われても、明らかに豪勢過ぎるし怪しい
『ばーか。おまえらは知らないけど、教員専用の出前があるんだよ。この弁当は今日俺が頼んだデラックス弁当』
倉木がムキになり説明してる中、またあの音が……
---グ……………
『もういいから食えって!他の生徒に見られたらみんな群がってくるだろ』
『…………』
さすがの修も食欲に負けて、ご飯を一口食べた
考えてみれば、ここ最近まともなご飯を食べていない
所持金もないし、唯一買えるのはコンビニのおにぎりぐらい
修は一口食べて吹っ切れたのか、あっという間にお弁当を間食した
お腹いっぱいになったせいか、なんだか力が湧いてきた気分
『他の生徒には絶対内緒だからな?』
念を押すように倉木が何度もその言葉を言う
『言わないっすよ。言わないからまた食べさせて下さいね?』
修は冗談を言うほど、元気になっていた
そんな修を見て、倉木はどこかホッとしていた
“やめろ!”
先ほど声を上げた修の顔は本気だった
普段の修には見られない別の顔が一瞬見えたのは
気のせいなのだろうか?



