Iの漂流戦士






【私立緑丘高校 グラウンド】




一方その頃、誰も居ないグラウンドで1人浮かない顔をしている人物が居た


休日の部活が終わり、時刻はお昼過ぎ

陸上部の顧問である倉木はまだ帰宅しようとしない


頭の中で何度も修の事を考え、その度に“後悔”の二文字が襲ってくる


倉木はおもむろにズボンのポケットから何かを取り出した


それは一枚の白い紙で、表には“辞表”と書かれていた


この決意は今に始まった事ではない

修が命を経った1年前から、倉木の中で迷走していた事だった



教師として自分の生徒を守れなかった事

そして、殺人鬼になるまでこの世界を憎んでしまった事


たった1人の生徒も救う事が出来ない

そんな自分の無力さに絶望すら感じていた


これから教師としてやっていく自信は既に倉木の中にはない


辞表の紙を握り締め、来週の月曜日の朝に提出すると決めていた




『またあなたは逃げるんですね』



誰も居るはずのないグラウンドに聞こえた声



『…………お前は……』



そこに居たのは倉木を冷たい視線で見る一馬だった