見た事のない高木功の表情に、ナノハの言葉が詰まった
眼鏡の奥のその瞳は修とそっくりで、ナノハの脳裏に修の姿が浮かんだ
『ここに居れば、好きな花だっていつでも見に来れる。だからどこにも行かないでよ。ナノハちゃん』
“どこにも行かないで”
それは高木功が何百回言っても足りない言葉だった
好きな人を困らせたい訳じゃない
だけど、ここで言わなかったらこの気持ちをどこにぶつけたらいい?
不安そうな高木功の顔を見て、ナノハはそっと手を握った
『……功は誰かの為に何かをしたり、我慢したりした事ある?』
『………え?』
ナノハはギュッと高木功の手を包んだ
その手は冷たく、血の気が全く感じられない
『私はないよ。でも今ならそれが出来るの。自分より大切な人ができたから』
ナノハの心に迷いはない
高木功はナノハの手を握り返し、最後に一番聞きたかった事を聞いた
『じゃぁ、ナノハちゃんは兄さんが居なくなっても大丈夫って事?』
ナノハは考える事なく、その答えを言った
『それは修が過去から解放されたって事だから私にとっては嬉しい事だよ』



