それから1時間後、教師や生徒達がぞくぞくと学校に登校してきた

その中に正義の生徒が数人居たが、肝心の横川直輝は見当たらない


『お前はそろそろ職員室に行った方がいい。その間、俺はそこら辺見回っとくから』


倉木の言葉に、正義はとりあえず校内に入った

授業が始まってしまえば身動きは取れないし、まさか教室に殺人鬼が乗り込んでくる訳がない

そうなれば、実行する時間帯も限られてくる



『…星野先生顔色悪いですよ?風邪ですか?』

職員室に着くなり、他の教員にすぐさま指摘されてしまった


『そ、そうですか?全然元気ですよ』


平然と笑って返したが、内心は笑える状況ではない

まさか今日、この学校に殺人鬼が来るなんて思ってもみない教員達はつかの間の朝の時間を過ごしていた


正義は一度、心を落ち着かせるように椅子に座ったがすぐに腰を上げた


『あれ?どこ行くんすか?』

コーヒーカップを持った梨本がすぐに正義に気付く


『あ、ちょっとトイレ』

そう言って、足早に職員室を出た


正義が向かったのは勿論トイレではなく自分の教室だった