Iの漂流戦士






一方その頃、そんな少年達を黙って見ている人影があった

その人影はビルの屋上から下を見下ろしている



『何してるの?』


ヒラヒラとセーラー服をなびかせながらナノハがそっと人影に近付いた



『何もしてないよ。ただ月を見ていただけ』



ナノハの問いかけに、修はニコリと笑ってみせた

そんな“らしくない”笑みにナノハは首を傾げる



『月は上だよ?修』


ナノハはそう言いながら、修の横に移動した


その視線を追うとやっぱり月ではなく、それは路上の人混みだった


『……迷っているの?』


ナノハはジッと修の横顔を見つめた



『迷うって何を?』


珍しく修はナノハの方を見ようとしない

その様子を見て、ナノハはギュッと修の手を握った



『修は前に言ったでしょ?やり残しはない。俺は全てを終わりにした後だからって』


『………』


『それは本当に修の本心なの?』



一番近くに居るナノハでさえ、修の全てを理解している訳ではない

修は少し考えるように無言になった



-----あの日、確かに修は全てを終わりにした

真っ赤な血で染まる自分の手で


でも一つだけ、
たった一つだけの後悔



“ーーーーーー修!!!”


そう叫んだその手を掴む事が出来なかった事




『…………修?』

ナノハはすぐに変化に気付いた


修はギュッとナノハの手を握り返し、気が付くと瞳からは一筋の涙が流れていた