【同時刻 殿町】
夜の町はたくさんの若者で溢れていた
大通りのイルミネーションや路地に座り込む少年少女達
そんな人の渦の中に横川直輝は居た
『カラオケ楽しかったねー!明日学校なければオールしたい気分』
『確かにー!今度人数増やしてまた来ようよ』
『賛成〜』
横川を含めた数人の男女達はカラオケ帰りのようだ
『でもさ、まじで“岡吉”のおごりで良かったの?』
その輪の中に一人浮いている少年が居た
明らかに真面目そうな少年は学校帰りにカラオケに行くようなタイプではない
『あ、…うん。うち金持ちだしみんなが楽しんでくれるなら』
小さな声で言った少年の名前は
岡吉隆志(おかよし たかし)
そんな岡吉を見て、グッと肩を組んだのは横川だった
『なんだよそれ?まるで俺達がお前に集(たか)ってるみたいに聞こえるじゃん?』
組まれた肩を強張らせ、岡吉は苦笑いを浮かべた
『ち、違うよ。俺はただ歌も上手くないしこのぐらいしか出来る事ないから…』
岡吉の言葉に横川はニコリと笑った
『何言ってんだよ。そんな事全然気にしなくていいのに。俺達は友達なんだからさ』
“友達”
その単語が岡吉に重くのし掛かる
そんな岡吉のカバンの中で、絶え間なく携帯のバイブ音が鳴っていた



