それから数日後、正義は殿の街に居た


数日前の雨が嘘だったように、晴れ渡った休日

ここ数日で変わった事はない、殺人鬼も現れる気配を見せなかった


掲示板の住人達も戦士が現れないとイマイチ盛り上がらないのかレス数は伸びていない

以前、予告してしまった新造の件は“誤報でした”と管理人が謝っていた


殺人鬼01は確かに赤磐市に現れ、柿崎新造を殺そうとしていた

誤報なんかじゃない


しかし、修は殺さなかった

正義だけが知っている真実


修に正義の気持ちが届いたとは思えない

なぜ修が止めてくれたのかは定かではないが、正義は思っていた


このまま誰も殺さないでくれ、と

もしこのまま一生殺人鬼が現れなかったら…世間はいつか忘れてくれるだろうか


このまま何もなかったように、日常が戻ってきたら正義もいつか忘れるだろうか

いや、そんなはずはない


彼らを救えず、殺人鬼のままにしたら一生悔いが残る

しかし、彼らを救い、彼らが殺人鬼じゃなくなったら………


そんな事を思いながら、正義は“ある場所”に向かっていた、それは………



『まだ咲いてないか…』

足を止めた場所はイチョウ通り

以前正義も含めた愛の手で花を植えた場所だった


あれから交代で水を撒くと決め、今日は正義が担当の日


種は順調に芽を出し、大きくなっているがまだ花は咲いていない


植えた種はパンジーで花が咲くまでは、まだ時間がかかりそうだ

なかなか大きくならない花を選んだのは簡単に咲く花より、育てにくい方が愛着が湧くという理由


正義は近くの水道で如雨露(じょうろ)に水を入れた