正義の言う通り、彼らを救う事に許可など必要ない
高木功は初めから分かっていた
自分は第三者の人間で、本来首を突っ込める立場ではないと
“お前は関係ない”と言われてしまえばそれまでだった
高木功の願いはたった一つ
“殺人鬼になりたい”
彼らと同じ立場になれば、自分も当事者で居られるだろうか
そして修達とずっと一緒に居られるだろうか
彼らが誰かに救われ、殺人鬼でなくなる日が来たら
一番怖いのは高木功だ
そんな日が来たら高木功こそ
“一人”になってしまう
そう考えるだけで気が狂ってしまいそうだった
高木功はジッと景色を見て、手すりを持つ手を強めた
ポツ…ポツ…と水滴があちらこちらで流れている
高木功の中で芽生えた思い
“このまま飛び降りてしまおうか”
屋上から下を覗きこんだ
恐怖はない
あるのは殺人鬼になれるという希望だけ
この気持ちは今に始まった事ではなかった
高木功が常に思い続けていた事
修が死んだあの日から、生きている意味なんてなかったのだから
だけど、すぐに死のうとは思わなかった
だって修がまた帰ってくると知っていたから