Iの漂流戦士





『……なんだ。お前帰って来たのか』


ドクンッ…と正義の脈が波打つ

隼人から父親の事はある程度聞いていた

でも三日間振りに帰って来た息子に対して、こんな言葉を言う父親が居るだろうか


第三者の人間である正義がこんな気持ちになるのに、

本人である隼人はどんな気持ちで………


チラッと隼人に目を向けた瞬間、女がふかしていたタバコの煙が覆い被さった


隼人はこんな環境でずっと暮らしてきたのだ

居場所のないこの家で



殿の街で捨て猫のようにうずくまっていた隼人

隼人を救う方法はいくつかあった


警察に行くか、愛の手で保護するか

だけど隼人の答えは

“…………俺は帰りたいです。あの家は母さんが暮らした場所だから”


こんな不衛生でこんな扱いをされても帰りたいと望んだ場所

正義は胸が苦しくなった


左胸を手で押さえ、込み上げてくる感情を必死で堪える

それと同時に覚悟を決めた



『私は愛の手という未成年を対象にしているボランティア団体に所属しているものです。今日は隼人君のお父さんに話しがあって来ました』


堂々とした口調で、足の踏み場のない室内に足を踏み入れた