正義の目に入ってきたのは、靴がいくつも散乱している玄関に大量のゴミ袋
足が後退りしてしまう程、家の中は散らかっていた
女はそんなのお構い無しに『どうぞ〜』と正義を招き入れる
まるで自分の家のように
足の踏み場のない家の中で、正義はつま先立ちで進んでいった
二部屋しかないアパートの一室に響くテレビの音
『新造にお客さんだよ〜』
女は腕組みをしてタバコを加えた
女が着ているキャミソールの紐は肩からズレ落ち、
だらしない格好だが本人は全く気にしていない様子
『あ?俺を訪ねてくる客なんて居ねーよ。帰ってもらえ』
ゴミや雑誌が山積みになった部屋にテレビと布団が一枚
白いタンクトップにトランク姿の男は隼人の父親
柿崎新造だった
『え?もう上がってもらっちゃった』
女がそう言うと、新造の視界に正義の姿が映った
正義は戸惑いながら
『お邪魔します。実は……』と、ここに来た経緯を説明しようとするが新造がそれを遮る
『てめぇ、なに勝手に家の中入れてんだよ。んで?あんた誰?』
女を睨み付けた後、その睨みは正義に向いた
そんな正義を庇(かば)うように隼人が一歩前に出る
『父さん………』
三日間連絡もなしに失踪していた隼人に対して、新造の第一声は耳を疑うものだった



