『…………俺は帰りたいです。あの家は母さんが暮らした場所だから』
“母さん”という単語を出した瞬間、また隼人の目が潤んだ
正義は深く聞かなかったが、大体想像はつく
『…………じゃぁ帰ろうか』
すんなりと返ってきた言葉に隼人は目を丸くさせた
当たり前だ
父親という難題を何一つ解決出来ていないのに
だけど正義はこの言葉を軽々しく言ったのではない
隼人が望むのであれば、自分の自宅に何日置いても構わないし、愛の手で保護してもいい
でも隼人はそれを望んでいない
“家に帰りたい”
それが望みなら正義は全力で協力しようと思った
『…家に帰ろう?一緒に』
正義は隼人を連れて、赤磐市に行く決意をした
大人として、教師として、愛の手として、星野正義として、
隼人の悩みを聞いた以上、解決するまでとことん向き合おうと思った
隼人はそれを聞いて唇を噛みしめ深く、深く頷いていた
次の日、
休日を利用して正義は隼人を連れて赤磐市まで車を走らせる
正義の住んでいる場所から赤磐市まで30分程度
殿町に行くよりは近い所にあった



