Iの漂流戦士






二人での作業を思いの外(ほか)早く進み、雑草は綺麗に抜き終わった

パンパンッと手に付いた泥を払い、正義は花の種を出した


まだ泥が付いている手のひらに種を乗せ、 焦げ茶色の土に一つずつ植えていく



『………やってみる?』

正義は種を差し出すが、ナノハは首を横に振った


さっきまで積極的に雑草を抜いていたのに、ナノハの顔は少し怯えているように見えた


(……………?)

正義は別に、種を植える作業まで手伝ってほしかった訳ではない


でも雑草を夢中で抜いているナノハを見て、こうゆう作業が好きなのかな?と思っていただけ


だって正義の目にはナノハが笑っているように見えたから

もしかしたら種を植える作業も好きなのかも…と思ったが、どうやら違うらしい


正義はポケットから小銭を出し、種の変わりにナノハに渡した


『手伝ってくれてありがとう。すぐに種も植え終わるからこれでジュースでも買ってて』

泥の付いた手でナノハはお金を受け取り、ゆっくりと立ち上がった


スタスタ…と歩き出すナノハの背中を正義は見つめた


(このまま帰っちゃったりして…)

そう不安になったが“また戻って来て”とは言わなかった


正義の都合で付き合わせてるのに強制なんて出来ない


(話しがしたいと言ったのは俺なのに…手伝わせて悪かったな……)


正義の中でナノハはもう戻って来ないと思っていた


しかし数分後、ナノハは戻ってきた

何も言わず、ペットボトルのお茶を抱えて


正義はその時、なぜか涙が出そうになった

本当にいい子だな…。そう思う度に殺人鬼という事実が重くのし掛かる