Iの漂流戦士






【殿町 駅前】




若者が行き交う人波の中、4、50歳過ぎの男性と女性が数十人集まっていた


普通は派手な格好をしている人達の方が目立つのだが、この街では派手じゃない方が目立ってしまう


特にこの年代の人達は居るだけで場違いのような目で見られてしまう…が

若者達はその集団の人達が皆付けている“ある物”を見て『あぁ』と納得している様子


それは“愛の手”と書かれた緑色のワッペン



『す、すいません……!遅くなりました』



その集団に慌てて駆け寄る一人の男

車をパーキングに停め、待ち合わせ場所に走って向かったが完全な遅刻だった

理由は休日だけあって道路が思いの外(ほか)混んでいたからだ

正義は息を切らせながら頭を下げる



『大丈夫ですよ。星野さん。今日は集まれる人だけ集まってもらったんですから』


正義を呼び出した真田という女性がその場を仕切っていた

今日の愛の手の活動は街をパトロールする事ではない


愛の手が集まる時は大体日が暮れてからで、午前中に集まるなんて事は今までになかったが、今日は違う目的で集められた



『じゃぁ、これを配るので各自指定された場所へと向かって下さい』

そう言った真田の手には無数のポチ袋

勿論お年玉な訳がなく、その中身には花の種が入っていた