【同時刻 殿町】
時間が進むにつれて人が続々と増え始めていた
すれ違う人達のほとんどが10代で夜は眠らない街、昼は若者の街と言われるだけの事はある
その人混みを高木功はイライラしながら歩いていた
人混みが苦手という理由もあるが、イラつきの原因は先ほどの修との会話
修にむかついたのではない
修に対してあんな事を言ってしまった自分に腹を立てていた
“俺だって…俺だってこれでも我慢してるんだ”
“俺はどんな手を使っても兄さん達と関わっていたいんだよ”
あの言葉に嘘偽りはなくて、常に思っている事だった
でも思うだけで口に出すつもりはなかった
特に修の前であんな態度を取りたくはなかったのに
『はぁ………』
高木功はとため息をつき、その足は駅に向かっていた
学校だと嘘を付いてまで制服を着て、朝早く殿町に来たのは全て自分の都合
修、ナノハ、一馬と一緒に居る時は私服ではなく、制服を着ていたかった
意味なんてない
意味なんてないけれど、
三人が制服を着ていて自分だけ私服を着る事がどうしても嫌だった
そんな気にする事もない小さな“違い”が高木功にとっては大きい事
こんなに朝早く殿町に来たのもただ1秒でも、
1分でも同じ場所、同じ空気を吸っていたかったから
こんな高木功の気持ちは兄である修だって痛い程分かっていた
お互いがお互いの気持ちを理解しているのに、どうしても分かり合えない
それはきっと枝波修は高木功を
高木功は枝波修を誰よりも大切に想うからだった



