俺もたまに、そういう気分になることがある。 学校なんかつまらない、同じルートばっかりを辿って行き着く同じ場所なんかじゃなくて 知らない電車に乗って 気が向いたとこで降りたり、とか。 ――でも 柚先輩は、そういうのとは違う。 そう思った。 「…先輩」 「気にしないで。よくあることなの。今日も、ちょっと気が向いて手前の駅で降りてみただけ」 よくあることだから、心配なんです。 2年前のあの日から 柚先輩の一番大切な時間は足を止めてしまったから。