目の前がぐらりとなり、あたしは地面に倒れた。 バトンも手から離れ、転がってしまった。 周りの視線が痛いくらいに感じる。 あたしのことを、どんどん追い上げる選手たち。 どうしよう……… 恥ずかしくなり、俯くばかり。 「優芽っ」 玲央の声がして、前を向く。 「優芽っ、立て!走って来い!」 玲央の声に、あたしは立ち上がって一生懸命走り切ると、玲央にバトンを渡した。 「玲央っ」 「任せとけっ」 玲央があたしから、バトンを受け取ると、どんどん追い上げていく。