「優芽っ」 「千穂ごめんね、ちょっと道に迷っちゃったみたい」 笑って言ってみたけれど、きっと千穂は気づいている。 あたしの目が腫れていることを 「あれ、千穂ご飯食べちゃった?」 何事もなかったように明るく言ってみせたけど あたしの演技では、わざとらしい。 「あ、ううんっ、優芽のこと待ってたんだよ、はやく食べよ」 そんなあたしの演技でも、気づかない振りをして、いつも通りの千穂でいてくれた。 ───… 「あ〜、おいしかったっ」 ご飯を食べ終え、あたしはベッドにドスンと座り込んだ。