玲央は一言告げると、歩きだした。 それは、一瞬の出来事で “ごめん”の理由さえ聞くことが出来なかった。 “ごめん”って何のことなの……? あたしにキスしようとしてきたこと? 他の女の子とデートに行ってたこと? それとも どっちも? 「玲央……、謝る理由が多過ぎて分からないよ……」 あたしは、その場にしゃがみ込んだ。 「…うっ、……うぇ……っ」 涙を止めることなど、出来ない。 ここにいたら、みんなが来ることは分かっているのに、立ち上がることが出来ない。