君はガラスの靴を置いていく




その後、保健室に行き熱を測るとと37.2℃だった。微熱だけど気温のせいなのか少し寒い。


『早退する?それとも少し様子みる?』

珍しく保健の先生が居て、俺はとりあえず次の授業だけ寝かせてもらう事にした。

保健室のベッドは相変わらず固くて冷たい。


『先生ちょっとだけ職員室行ってくるから。何かあったらすぐに言ってね』


カーテンの隙間から見えた先生の顔はすぐにドアの向こうに消えていった。

はぁ……、恐らく風邪を引いたのは昨日遠回りをして帰ったせいだ。

千花と別れてからずっとモヤモヤしてて、その上今ごろは先輩と合流してんだろうな…とか考えたら真っ直ぐ家に帰る気なんて起きなかった。


“わ、私の事からかってるの?もう大丈夫だから離して”


あの時、強引にでも千花に詰め寄っていたら何か変わっただろうか。


誰かの心を奪うなんて簡単だって思ってた。

キスをして抱きしめて一緒にいたいと囁く。それで何もかもが上手くいってた。なのに今の千花にそれが出来ないのは

嫌われたくないからだ。


嫌われるのは好きになってもらえない事よりずっと怖い。